ナラティブ・セラピーによる薬物依存症の治療
6月23日(月)の夜に、薬屋さんの講演会に行きました。薬物依存の治療を専門に行っておられる光愛病院の小高満先生のお話でした。真っ黒に焼けた坊主頭、ぎょろっとした目、講演でもジャケットとジーパン、と独特でした。(光愛病院の先生方は皆さんラフな格好でした)
ある時代、ある社会に常識とされていることが権力として私たちを支配しており、そこから「症状」「問題」が出てくる。それをいかに無効にしていくか、というのがナラティブ・セラピーだとのことです。まあ、ポスト構造主義的な話です。
具体的には、ドラッグなしでもうまくいったことを探しだし、新たなストーリーを作り、強化していくことで、(薬に依存するという)枠組みを大幅に変える、ということです。そのために自助グループが必要になります。
面白かったのは、「薬物依存者は、その道の専門家なのだから、教えてもらうという姿勢で話を聴く」という立場です。昨年、私は何の知識もなく覚醒剤依存で自殺未遂した患者さんを受けることになり、治療薬はほとんど使わず、1週間に1回、1~2時間程度の面談で語ってもらいました。その中で、最初は被害妄想が主だったのが、徐々に現実性が戻ってきて、時には薬物依存を扱っている医療機関、自助グループ、ドラッグの密売状況、など教えてもらい、非常に勉強になりました。彼は自助グループにも参加経験があり、それでもスリップしてしまったので、さらなる助けを必要としていました。「今後、入院が必要だったら、光愛病院かな」というのが二人で出した結論でした。
ナラティブ・セラピーは、世の中の常識を破壊する力があるため、危険を伴うとのことでした。それについて質問できれば良かったのですが、時間もかなり遅かったので、遠慮してしまいました。おそらく、治療者側のアイデンティティーが揺さぶられるのが問題なのでしょう。どのあたりで折り合いをつけるのか、治療に行き詰まったときに、小高先生に教えを請うてみようと思います。
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