緩和医療フォーラム 第2回
この1ヶ月半は、来年度の異動先が決まったり、バリに行ったり、重症の悪性症候群の方を入院で受けたり、引っ越し先を探したり、と忙しくしていました。さらっと書くと、この4月からは京都の単科の精神病院で働くことになりました。
というわけで、緩和ケアチームはお役ご免なのですが、最近、非常に興味深いケースがありました。
この5年間、ガンと闘ってこられた70代の女性で、鎮痛剤(オピオイド)をかなり増やしても痛みの訴えが続いている、鎮痛剤の頓服にあまり反応しないので何かおかしい、鎮痛剤が多すぎて眠気が強く退院の目処が立たない、と緩和ケアチームの担当看護師から相談がありました。
お会いした印象では、非常にシャキシャキされた方で、独身で自立心が強く、抑うつ的な感じは受けませんでした。
自信はありませんでしたが、鎮痛の補助薬として抗うつ薬を出してみることにしました。便秘や尿閉があったので、抗コリン作用が少ないジェイゾロフトをまず1錠、3日後に2錠処方したところ、開始10日後には痛みが非常に減り、また、眠気も減り、食欲も改善しました。結果として、鎮痛薬を半分に減らすことができました。
これまでうつの方に対してここまでジェイゾロフトが切れ味鋭く効いた経験がなかったので、正直、驚きました。
で、そのジェイゾロフトを販売しているファイザーが緩和ケアの勉強会を開いてくれたので行ってきました。
特別講演の講師は国立がんセンター東病院精神腫瘍科の小川朝生先生で、緩和ケアチームによる精神的ケアについてのお話でした。主な課題は
1)医療者(特に主治医)と患者との基本的なコミュニケーションがうまくいくようにサポートする。
2)抑うつとせん妄のマネジメント
であり、現時点では確固たるやり方は定まっていない、ただ、今年の3月中にリエゾン・コンサルテーション精神科医のマニュアルをなんとか作成する予定とのことでした。
厚生省が求める緩和ケアの説明、という色あいが強かったのですが、がん医療における精神的なケアの意義や、変わりつつあるがん治療についておぼろげながら知ることができ良かったと思います。
質疑応答では日本人の死生観に関わる議論があり、小川先生から「日本人の望む死というのは、死ぬことを意識しないで生きること、家族などに迷惑を掛けないこと、の二つが主です」という発言があり、そうなのかな、もう少し考えてみなければ、と思いました。
妻が再びがん治療に戻るとのことなので、がんの化学治療についてもちょっと教えてもらおうという気にもなりました。

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