精神科の達人---神田橋條治先生の講演
神田橋條治先生は、日本の精神科医では知らない者がいないくらい有名な先生です。精神科診断面接のコツ(追補)、 精神療法面接のコツ、精神科養生のコツ の「コツ三部作」は非常に有名で、臨床で使える精神療法としてよく読まれています。
昨晩の当直でwebで神田橋先生の講演録を見つけました。医局でも探したのですが、この号だけ見つかりませんでした(笑)
最近、先生は双極性感情障害(躁うつ病)、PTSDについて講演されており、それに続く第三弾として発達障害のお話です。いずれも見過ごされることが多く、いわゆる「難治例」として扱われるものです。前二者も面白く、今回のも非常に興味深かったです。
特に興味深いのは、発達障害の病因として、前頭葉に加えて小脳が大事でないか、という点です。発達障害の人は不器用であること、体を使ったトレーニングにより症状が改善すること、を傍証として挙げられています。
精神科医が小脳について考えることはまずないので、そういう発想が出てくるのがすごいと思います。
小脳は学習理論が有名ですが、高次認知機能に関わっているのでないか、という話が徐々にでてきています。10年くらい前に川人光男先生の講演を聴いたとき、(充分に理解したとはいいがたいものの)非常に面白く思いました。
小脳であれば薬はあまり効かないだろう、むしろ運動を中心とした学習・トレーニングが大事になってくるだろう、と思いますね。
先生は「邪気が見える」とか「Oリング」というオカルト的な表現をされていますが、おそらく個々の患者さんの表情、雰囲気、服装、などの限られた情報を、バックグランドにある莫大な知識と経験と照らし合わせると、勝手にアイデアが出てくるのだと推察します。
凡人としては、そのギャップを地道に文献で埋めていくしかないのかな、でも、それをきっちりやっていけば新たなアイデアがどんどん出てくるだろうし、clinical neuroscientistとして相当のレベルに行けるのかな、と思います。
あと、質疑応答での先生のコメント
「全体主義的になると研究者のほうに行きまして、個性的になると治療者のほうに行きます」
はすごい的確ですね。その軸のどのあたりに自分がいるか、どちらを指向しているか、意識したいと思います。



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