滋賀CBT研修会 坂野雄二先生
認知行動療法の研修会に行ってきました。講師は北海道医療大学の坂野雄二先生です。
坂野先生は認知療法学会でもユニークな座長ぶりを拝見しており、期待していました。内容は期待に違わぬものでした。
まずは心理学の歴史のお話が1時間。フロイト、パブロフ、ワトソン、スキナーからアイゼンク、ウォルピ、そして認知療法の創始者であるベックに至る流れを紹介されました。そのココロは、精神分析が実践で効果を挙げられないところから認知行動療法が考案されたということでした。
その後は実践にあたって、治療者が注意すべきこと、重視すべきことに重点を置いて説明され、その合間に「認知行動療法(CBT)とは」という話をされていました。なので、系統的には説明しにくいのですが、重点を置いて話されたことを挙げていくと
・推測や解釈はなるべく排する。「どうしてこうなったんでしょうか?」→「良くなってから考えましょう」
・生活・行動に着目しよう。
・一つの振る舞いだと思えるもの(例:朝起きて散歩する)も小さな行動の複合であることを認識する
→服薬行動の管理へのヒント
・CBTに限らず、精神療法は導入が肝心。主訴・クライアントの希望、および問題のアセスメントを充分に行い、近い治療目標を設定する。
・行動分析の理解
きっかけ→振る舞いや考え→その結果
患者さんは「きっかけ」と「結末」は自発的には語らない。治療者が聞き出す。
・学習(この人はあと何を学べばよいか?):悪い点をなくすのでなく、良いところを積極的に増やしていこう
例:爪を噛まない→爪を噛まない時間をどうしたら増やせるか?
・問題解決の着眼点
#どこから変えると変えやすいか
#どこを変えると次の問題を解決しやすいか
(難しいところから始めることはない)
・上手なプラスのフィードバック:
その場でほめる、余計な言葉は言わない、具体的な行動をほめる、できなかった理由は問わない、「・・・しちゃダメ」と通用しない
・問題解決のヒント
☆たくさんのアイデアの中に良いアイデアがある=柔軟性を増やす☆ 《今日のいちばんのポイント》
(できそうなことを考えるとアイデアが出ない)
今までとは別のアイデア・行動ができたことに対して、プラスのフィードバックをする
・学んだことを安定させるためには「過剰学習」が必要
身に付いた後も繰り返し練習が必要
・患者さんが感情をぶつけてきたときは、個性を理解するスタートとなる
例:おい、こら、看護師!この病院は、どうしてこうなんだ!
先生のこと好きになっちゃった→今までどんなとき、どんな相手を好きになってましたか?
・境界型パーソナリティ障害について
患者さんは自分なりにベストを尽くそうといている・・・やり方が下手なだけ
弁証法的行動療法(DBT)が注目されている。(DBTの話は時間切れ)
以上が講義のアウトラインです。
「認知行動療法、イコール、カラム法ではない。患者さんに合わせて手法を組み合わせていく楽しみがある」と強調しておられました。浅薄な理解・利用に対する当然の戒めでしょう。
実践家である先生の生き生きした話を聴いていると、上手くいっていない問題にどう適応したらいいかと、いろいろと頭に浮かんできます。私は精神科病院に勤めているので、病棟で起こる問題、たとえばイライラしてスタッフや他の患者さんに当たる患者さんの対応や、入院が長期に及んで問題行動が出現している患者さん(物盗り、放尿、大声出し、など)の対応が思い浮かびました。
興奮して暴力が出たり出そうになったりすると、「頓服を飲むか、注射をするか、保護室に入るか」という選択肢でつい考えてしまいますが、もっと柔軟に考えなければいけないと感じさせられました。
柔軟さを身につけるコツを教わろうと思いましたが、時間が足りず質問できませんでした。「繰り返し練習すること」という答えが返ってきそうですが。
私はほとんど心理学を囓っていないので新鮮なことばかりでした。こういう経験を勉強するきっかけにできれば、と思います。
来週は応用行動分析の話を聴きに行きます。
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