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2014年3月

2014年3月16日 (日)

帚木蓬生さんのインタビュー

NHK こころの時代で精神科医・小説家の帚木蓬生さんのインタビューを観ました。

http://www4.nhk.or.jp/kokoro/x/2014-03-08/31/19872/

帚木蓬生はペンネームで、精神科は本名の森山成彬としてクリニックを開業しておられます。ギャンブル依存の専門家として有名な方です。

依存症の治療で中心になるのは、患者同士のミーティングです。番組ではギャンブル依存のミーティングも放送されていました。アルコール依存のミーティングとよく似ており、実際、アルコール依存症の3割にギャンブル依存が併存するとのことです。

精神科医は薬が効く病気にしか興味を示さない、薬が効かない患者は切り捨てている、という耳の痛い批判もありました。動機づけ面接と認知行動療法で、どこまでやれるでしょうか?

皮肉なことに、ニコチン依存に続いてアルコール依存に対しても新薬が発売されました。過去15年で煙草をめぐる社会情勢は大きく変わりましたが、飲酒に対して、さらにギャンブルに対して、これからどう変わっていくでしょうか?

個人的に面白いと思ったのは、開業した理由を訊かれて、「大学の医局は精神科病棟の保護室みたいなもの、公立病院は閉鎖病棟、市中病院は開放病棟、開業したらやっと外来になる感じだよ。」と語って笑っておられました。私自身、早く行動制限が外れるよう、努力しています。

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2014年3月10日 (月)

認知行動療法の研修

うつ病に対する認知行動療法(CBT)の厚労省研修プログラムを終了することができました。

参加できるのは精神科医で、2日間のワークショップに参加すること、1ケース全16回のセッションについて毎回スーパービジョン(専門家からの指導)を受けること、まとめのワークショップを受けること、が要件です。昨日、まとめのワークショップに参加してきました。

私は最初のワークショップを受けてから2年経ったところでようやくケースを開始し、5か月がかりで終えました。1時間弱の面接を録音してテープ起こしをするのは非常に負担でしたが、幸い、私の患者さんの抑うつ症状は大幅に改善し、生活面でも大きな進展がありました。自分の癖も知ることができ、得るものは多かったです。

それで、今後も構造化したCBTを続けるかというと、正直には消極的です。毎週、1時間弱かけて面接を続けるのは病院勤めの医師にはかなり負担です。また、プログラムを終了したといっても、たった1ケースしかスーパービジョンを受けておらず(少なくとも4~5例は必要だと思います)、自信には程遠いです。

毎週1時間という構造はあくまで心理士の枠組みであり、精神科医はより緩やかな枠で、たとえば、普通の診察の中で行動活性化を試みたり、認知行動モデルに即してアセスメントをしたり、というのが現実的な使い方でしょう。

また、私の感覚としては、CBTよりも動機づけ面接のほうがより基本的で汎用性の高い印象があります。ワークショップの雰囲気も、CBTよりも動機づけ面接の方が活気があって楽しいです。

というわけで、CBTについてはようやく一区切りつき、ホッとしたような、ちょっと寂しいような感じがしました。

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