もう一つの人生
先週末、出張で東京に行きました。ちょうど国立大学の合格発表直後で、30数年前に大学に入学した頃を思い出しました。
自宅から通える大学に進学するか、遠くの大学に進学するかという選択は、人生を大きく左右します。私はたまたま前者でしたが、もし後者を選んでいたらどんな人生を歩んでいたのか、ときどき想像します。
私と同い年で、上京して医学部に進学した高校時代の知人がいます。大学を卒業してしばらく経ってから、彼も精神科医となっていることを知りました。
ググってみると、今は都内のクリニックで雇われ院長をしていることがわかりました。東京で少し時間があったので、クリニックを覗きに行ってみることにしました。
大きなJRの駅から徒歩5分ほどのビルの2階にクリニックはありました。エレベーターを降りると、クリニックの扉は開いており、中の様子をうかがうことができます。
土曜の午前11時前だというのに、待合には誰も座っていません。クリニックの内装は、薬局のチェーン店のように没個性的でした。
彼がどんな心持ちで仕事に取り組んでいるのか、なんとなく察しがつきました。声を掛けようとも思いませんでした。
ETV特集「私の欠片と東京の断片」で岸政彦さん(いつのまにか京大に移られていたんですね!)が言っていたことを思い出しました。
東京大好き。さみしいし面白い。
東京って、地方出身の人が多いじゃないですか。
そうすると、来なかった自分、ここに来なかった自分がそこにたくさん歩いている感じがしますね。
すれ違う人みんな、世代も性別もぜんぜん違う人なんだけど、この人だったかもしれない、というのをすごく思う。
東京に行くと、「ここに来なかった自分」を想像する楽しみがあります。
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